インプラントの歯はどう固定する?―当院がほぼすべて「スクリュー固定」を選ぶ理由―
2026年9月9日
インプラント治療というと、「顎の骨にインプラントを埋める手術」をイメージされる方が多いと思います。
しかし、その上に装着する人工歯(上部構造)をどのように固定するかも、長期的な管理を考えるうえで重要です。
固定方法には、大きく分けて
・スクリュー(ネジ)で固定する方法
・セメントで固定する方法
の2種類があります。
当院では基本的にスクリュー固定(スクリューリテイン)を採用しています。
実際に2025年に当院で埋入したインプラント677本のうち、セメント固定となったのはわずか3本でした。
では、なぜほぼすべての症例でスクリュー固定を選択しているのでしょうか。
スクリュー固定とセメント固定の違い

*スクリュー固定はネジで、セメント固定はアバットメントに上部構造を接着して固定します。
スクリュー固定の大きな特徴は、必要なときに上部構造を取り外せることです。
修理や再製だけでなく、長期的なメンテナンスを考えるうえでも大きなメリットがあります。また、セメントを使用しないため、インプラント周囲への余剰セメントの残留を避けることができます。
一方、セメント固定にもアクセスホールがないなどの特徴があり、症例によっては有効な方法です。
どちらが絶対的に優れているということではなく、症例に応じた選択が重要です。
なぜ「取り外せること」が重要なのか?
特に複数本のインプラントを連結した大型の上部構造では、セルフケアをしっかり行っていても、清掃器具が届きにくい部分があります。
*以下、実際の治療・症例写真が含まれます(閲覧注意)

*大型インプラント上部構造の粘膜面。セルフケアを行っていても、清掃器具が届きにくい部分には汚れが蓄積することがあります。
写真は、上部構造を装着したときと約6か月後の状態です。
口腔内環境などによっては、普段は見えない粘膜側にこれだけ汚れが蓄積することがあります。
当院では必要に応じて大型の上部構造を取り外し、通常では清掃しにくい部分まで直接確認・清掃してから再装着しています。
「取り外せること」は、インプラントを長く管理するための重要な機能でもあります。
大型補綴では「中間アバットメント」を使用
複数本のインプラントを使用した大型補綴では、症例に応じてマルチアバットメント(中間アバットメント)を使用しています。

*大型上部構造を取り外した状態。中間アバットメントを残し、上部構造の着脱やメンテナンスを行えるよう設計しています。
写真で金色に見えている部分が中間アバットメントです。
これを介することで、大型上部構造の取り外し・再装着を行いやすくなります。
また、その後の補綴操作をアバットメントレベルで行うことで、インプラント周囲組織への介入をできるだけ少なくするという考え方にもつながります。
では、なぜ3本だけセメント固定だったのか?
2025年にセメント固定となった3本は、すべて永久歯の先天性欠損を伴う症例でした。
欠損部のスペースや骨幅に制約があったため、細径の1ピースインプラントを選択し、その構造上セメント固定となっています。
つまり当院では、「スクリュー固定が良く、セメント固定が悪い」と考えているわけではありません。
基本的には長期管理を考えてスクリュー固定を選択しながら、患者さんの骨やスペース、使用するインプラントの構造によって適切な方法を選択しています。
先天性欠損歯の治療について詳しくはこちら→ https://ginza-dental.or.jp/congenital/
インプラントは「入れたら終わり」ではありません
インプラント治療では、正確にインプラントを埋入することはもちろん重要です。
しかし、それと同じくらい大切なのが、「そのインプラントを将来どう管理していくか」という視点です。
最終的な歯の形や噛み合わせ、固定方法、そして長期的なメンテナンスまで考えて、治療開始時から逆算して設計する。
当院では、インプラントを「埋入すること」だけをゴールとせず、最終的な上部構造とその後の長期管理まで考えた治療を大切にしています。
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この記事の執筆・監修

金山 健夫
東京銀座デンタルクリニック 院長 / 歯学博士
インプラント治療・補綴治療・デジタル歯科治療を中心に診療を行う。
日本補綴歯科学会 専門医・指導医。
国立がん研究センター中央病院 非常勤医師(インプラント外科・補綴担当)。





