インプラント相談では、最初からCT撮影が必要? ― パノラマX線とCT、それぞれの役割 ―
2026年9月26日
インプラント相談に来院された患者さんから、
「CTを撮らなくてもインプラントができるか分かるのですか?」
「最初からCTで詳しく調べた方がいいのでは?」
とご質問をいただくことがあります。
CTは、インプラント治療において非常に重要な検査です。
一方で、初診相談の段階から、すべての患者さんにCT撮影が必要とは限りません。
東京銀座デンタルクリニックでは、まず口腔内の診査やパノラマX線画像、口腔内スキャンなどからお口全体の状態を確認し、必要に応じてCT撮影へ進みます。
今回は、パノラマX線とCTで「何が分かるのか」、実際の症例画像を使ってご紹介します。
初診では、まずお口全体を確認します

パノラマX線は、上下の歯やあごの骨などを一枚の画像で広く確認できる検査です。
インプラント相談では、歯を失っている場所だけを見るのではありません。
残っている歯や歯の根、歯周組織、あごの骨の状態、上顎洞や下顎管のおおよその位置など、お口全体の状態を把握することが重要です。
そのため初診相談では、パノラマX線画像や口腔内の診査などから、まず「どのような治療が考えられるのか」という大きな方向性を検討します。
ただし、パノラマX線は二次元の画像です。
インプラントを実際にどの位置・深さ・角度で埋入するのかを計画するためには、パノラマだけでは分からない情報があります。
CTでは、あごの骨を三次元的に確認できます

こちらは、同じ患者さんの術前・術後のCTデータを立体的に表示した画像です。
CTでは、パノラマX線とは異なり、あごの骨や欠損部を三次元的に観察することができます。
特にインプラント治療では、骨の形態や厚み、周囲の解剖学的構造との位置関係など、二次元の画像だけでは把握しにくい情報を確認できることがCTの大きな役割です。
このように、パノラマとCTは「どちらが優れている」というものではなく、確認する目的が異なる検査です。
手術前にはCTで詳しく確認し、埋入位置を検討します

こちらも同じ患者さんのCT画像です。
この症例では、埋入を予定している位置に目印を入れてCTを撮影しています。
CTの断面画像を確認することで、骨の高さだけでなく、骨の厚みや形態、下顎管などとの位置関係を詳しく確認できます。
これらの情報をもとに、使用するインプラントや埋入位置・深さ・角度などを検討していきます。
右側はインプラント埋入後のCT画像です。術後には、埋入されたインプラントの位置や周囲組織との位置関係などを確認することができます。
「最初からCTを撮らない=詳しく診ていない」ではありません
CTは非常に多くの情報を得られる検査ですが、情報量の多い検査を最初から行えばよい、というわけではありません。
初診相談では、まずお口全体を診査し、パノラマX線画像などから治療の大きな方向性を検討します。
そしてインプラント治療を具体的に進める段階では、CTによる三次元的な評価を行い、より詳細な治療計画を立てていきます。
もちろん、骨の状態が厳しいと考えられる場合や、重要な解剖学的構造との位置関係などを初診時から詳しく確認する必要がある場合には、早い段階でCT撮影を行うこともあります。
大切なのは「CTを撮るか、撮らないか」ではなく、治療の段階や症例に応じて必要な検査を適切に選択することです。
東京銀座デンタルクリニックでは、初診時の診査から実際のインプラント手術まで、それぞれの段階で必要な情報を確認しながら治療計画を立てています。
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この記事の執筆・監修

金山 健夫
東京銀座デンタルクリニック 院長 / 歯学博士
インプラント治療・補綴治療・デジタル歯科治療を中心に診療を行う。
日本補綴歯科学会 専門医・指導医。
国立がん研究センター中央病院 非常勤医師(インプラント外科・補綴担当)。
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インプラントの歯はどう固定する?―当院がほぼすべて「スクリュー固定」を選ぶ理由―
2026年9月9日
インプラント治療というと、「顎の骨にインプラントを埋める手術」をイメージされる方が多いと思います。
しかし、その上に装着する人工歯(上部構造)をどのように固定するかも、長期的な管理を考えるうえで重要です。
固定方法には、大きく分けて
・スクリュー(ネジ)で固定する方法
・セメントで固定する方法
の2種類があります。
当院では基本的にスクリュー固定(スクリューリテイン)を採用しています。
実際に2025年に当院で埋入したインプラント677本のうち、セメント固定となったのはわずか3本でした。
では、なぜほぼすべての症例でスクリュー固定を選択しているのでしょうか。
スクリュー固定とセメント固定の違い

*スクリュー固定はネジで、セメント固定はアバットメントに上部構造を接着して固定します。
スクリュー固定の大きな特徴は、必要なときに上部構造を取り外せることです。
修理や再製だけでなく、長期的なメンテナンスを考えるうえでも大きなメリットがあります。また、セメントを使用しないため、インプラント周囲への余剰セメントの残留を避けることができます。
一方、セメント固定にもアクセスホールがないなどの特徴があり、症例によっては有効な方法です。
どちらが絶対的に優れているということではなく、症例に応じた選択が重要です。
なぜ「取り外せること」が重要なのか?
特に複数本のインプラントを連結した大型の上部構造では、セルフケアをしっかり行っていても、清掃器具が届きにくい部分があります。
*以下、実際の治療・症例写真が含まれます(閲覧注意)

*大型インプラント上部構造の粘膜面。セルフケアを行っていても、清掃器具が届きにくい部分には汚れが蓄積することがあります。
写真は、上部構造を装着したときと約6か月後の状態です。
口腔内環境などによっては、普段は見えない粘膜側にこれだけ汚れが蓄積することがあります。
当院では必要に応じて大型の上部構造を取り外し、通常では清掃しにくい部分まで直接確認・清掃してから再装着しています。
「取り外せること」は、インプラントを長く管理するための重要な機能でもあります。
大型補綴では「中間アバットメント」を使用
複数本のインプラントを使用した大型補綴では、症例に応じてマルチアバットメント(中間アバットメント)を使用しています。

*大型上部構造を取り外した状態。中間アバットメントを残し、上部構造の着脱やメンテナンスを行えるよう設計しています。
写真で金色に見えている部分が中間アバットメントです。
これを介することで、大型上部構造の取り外し・再装着を行いやすくなります。
また、その後の補綴操作をアバットメントレベルで行うことで、インプラント周囲組織への介入をできるだけ少なくするという考え方にもつながります。
では、なぜ3本だけセメント固定だったのか?
2025年にセメント固定となった3本は、すべて永久歯の先天性欠損を伴う症例でした。
欠損部のスペースや骨幅に制約があったため、細径の1ピースインプラントを選択し、その構造上セメント固定となっています。
つまり当院では、「スクリュー固定が良く、セメント固定が悪い」と考えているわけではありません。
基本的には長期管理を考えてスクリュー固定を選択しながら、患者さんの骨やスペース、使用するインプラントの構造によって適切な方法を選択しています。
先天性欠損歯の治療について詳しくはこちら→ https://ginza-dental.or.jp/congenital/
インプラントは「入れたら終わり」ではありません
インプラント治療では、正確にインプラントを埋入することはもちろん重要です。
しかし、それと同じくらい大切なのが、「そのインプラントを将来どう管理していくか」という視点です。
最終的な歯の形や噛み合わせ、固定方法、そして長期的なメンテナンスまで考えて、治療開始時から逆算して設計する。
当院では、インプラントを「埋入すること」だけをゴールとせず、最終的な上部構造とその後の長期管理まで考えた治療を大切にしています。
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この記事の執筆・監修

金山 健夫
東京銀座デンタルクリニック 院長 / 歯学博士
インプラント治療・補綴治療・デジタル歯科治療を中心に診療を行う。
日本補綴歯科学会 専門医・指導医。
国立がん研究センター中央病院 非常勤医師(インプラント外科・補綴担当)。
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