インプラントは「入れて終わり」ではありません|長く使うために大切なメインテナンス
2026年8月19日
「インプラントは何年くらいもちますか?」
インプラント治療をご検討されている患者様から、よくいただくご質問のひとつです。
インプラントは、適切な治療とその後のメインテナンスを行うことで、長期にわたって使用することが期待できる治療です。
しかし、大切なのは、「インプラントを入れたら治療は終わり」ではないということです。
私たちは、インプラントは「入れる治療」だけではなく、「長く守っていくところまで含めた治療」だと考えています。
今回は、インプラントを長く安定して使っていただくために、治療後のメインテナンスでどのようなことを確認しているのかをご紹介します。
インプラントにも「歯周病のような病気」があります
インプラントそのものは、天然歯のようにむし歯になることはありません。
しかし、インプラントの周囲にプラークが蓄積すると、周囲の組織に炎症が起こることがあります。
代表的なものが、「インプラント粘膜炎」と「インプラント周囲炎」です。
インプラント粘膜炎は、インプラント周囲の粘膜に炎症が起きているものの、インプラントを支える骨の喪失までは認められない状態です。
一方、炎症がさらに進行してインプラント周囲炎になると、出血や排膿、ポケットの深化に加えて、インプラントを支えている骨の喪失が認められるようになります。

*「インプラント周囲炎・インプラント粘膜炎・健康なインプラント周囲組織」の比較画像
インプラント周囲の炎症は、早期に発見し適切に対応することが重要です。
画像を見ると分かるように、問題が大きくなってから対応するのではなく、小さな変化を早い段階で見つけることが非常に重要です。そのために欠かせないのが、治療後の定期的なメインテナンスです。
インプラントのメインテナンスは「クリーニング」だけではありません
メインテナンス=歯をきれいにすること」というイメージをお持ちの方も多いと思います。
もちろん、プラークを取り除き、清潔な状態を保つことは非常に重要です。
しかし、インプラントのメインテナンスでは、クリーニングだけを行っているわけではありません。
インプラントを長期的に安定させるために、
・歯肉からの出血(BOP)
・ポケットの深さの変化(PPD)
・排膿の有無
・プラークコントロール
・X線写真による骨レベル
・噛み合わせやスクリューの緩み
・上部構造の形態
などを継続的に確認していきます。

インプラントのメインテナンスでは、周囲組織だけでなく、骨・噛み合わせ・上部構造まで確認します。
特に重要なのは、一回の検査結果だけで判断しないことです。
例えば、インプラント周囲のポケットは「何mmだから悪い」と数字だけで判断するものではありません。
治療後の状態を記録しておき、
「以前と比較して深くなっていないか」
「出血するようになっていないか」
「骨の状態に変化がないか」
といった経時的な変化を確認することが重要です。
X線写真についても同様です。
治療後の状態を基準として保存し、その後のX線写真と比較することで、見た目だけでは分からない骨の変化を確認していきます。
実は「インプラント上部構造の形態」もメインテナンスに関係します
インプラントを長く安定して使用するためには、患者様によるセルフケアや定期的なメインテナンスだけでなく、治療する側の設計も重要です。
天然歯とインプラントでは、歯ぐきの中の構造が大きく異なります。
天然歯には歯根がありますが、インプラントでは骨の中に埋入されたインプラント体の上に上部構造(人工の歯)を装着します。
そのため、インプラントの上部構造は天然歯と比較して、歯ぐき付近のふくらみが大きい「オーバーカントゥア」になりやすいという特徴があります。

インプラントは構造上、天然歯とまったく同じ形にすることはできません。
適切な位置にインプラントを埋入し、上部構造を丁寧に設計した場合でも、天然歯と比較すると歯ぐき付近にある程度のふくらみが生じることがあります。つまり、どれだけ適切に治療を行っても、構造上ある程度のオーバーカントゥア(ふくらみ)は避けられない場合があります。
大切なのは、そのふくらみを単純になくすことではありません。
見た目や機能性を確保しながら、歯ブラシやフロスなどが届きやすく、患者様ご自身でもできるだけ清掃しやすい形態に設計することが重要です。
そして、そのような上部構造を作るためには、上に装着する歯だけを考えるのではなく、インプラントをどの位置・角度に埋入するかという治療計画の段階から考える必要があります。
インプラントの埋入位置、上部構造の形態、周囲の骨や歯肉、噛み合わせ、そして治療後のメインテナンス。これらは、それぞれ別々のものではありません。
治療開始時から、その後のメインテナンスまでを見据えて設計することが、インプラントの長期安定につながります。
インプラントを長く使っていただくために
インプラント治療は、インプラントを正確に埋入するだけで終わりではありません。
清掃性や噛み合わせを考えた上部構造を設計し、治療後も定期的に状態を確認していくこと。
「入れること」から「長く守ること」までを一つの治療として考えることが、インプラントの長期安定につながります。
東京銀座デンタルクリニックでは、治療後のメインテナンスにも力を入れています。
先日開催されたOSSTEM JAPAN DH1Dayセミナーでも、当院の歯科衛生士がインプラントの長期安定を支えるメインテナンスについて講演を行いました。
インプラントの長期安定を支える歯科衛生士の役割 ― OSSTEM JAPAN DH1Dayセミナー講師を担当しました ―
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