オールオン4と言われました。本当にそれが最善なのでしょうか?
2026年6月10日
インプラント治療のご相談で、近年よく耳にする言葉のひとつに「オールオン4(All-on-4)」があります。
患者様からも、
・「他院でオールオン4を勧められました」
・「歯を全部抜いてオールオン4にすると言われました」
・「オールオン4が一番良い治療なのでしょうか?」
というご相談をいただくことがあります。
オールオン4は、少ない本数のインプラントで固定式の人工歯を支える優れた治療コンセプトです。
しかし当院では、「オールオン4だから良い」「オールオン4だから悪い」という考え方はしていません。
大切なのは治療法の名前ではなく、その患者様にとって本当に長期的に安定する治療かどうかです。
オールオン4とはどのような治療でしょうか?
オールオン4とは、4本のインプラントで片顎の人工歯を支える治療コンセプトです。
一般的には、
・前方の2本は垂直に埋入
・後方の2本は傾斜をつけて埋入
することで、骨造成を回避しながら固定式の人工歯を支えることを目的としています。

オールオン4には、
・少ない本数で固定式の歯を支えられる
・骨造成を回避できる場合がある
・治療期間を短縮できる場合がある
といったメリットがあります。
その一方で、患者様のお口の状態によっては別の治療設計が適している場合もあります。
「オールオン4」という言葉だけでは治療内容は分かりません
現在では「オールオン4」という言葉が広く知られるようになりました。
しかし実際には、
・4本ではない
・骨造成を併用している
・即時負荷を行わない
・本来のコンセプトとは異なる設計
であっても「オールオン4」という名称で説明されることがあります。
もちろんそれが悪いという意味ではありません。
ただ、患者様がイメージしているオールオン4と、実際に行われる治療内容が一致していないケースも少なくありません。
そのため当院では、まず診断を行い、
・骨の状態
・残存歯の状態
・清掃性
・咬合設計
・長期安定性
を総合的に評価することを重視しています。
本来のオールオン4ではボーンリダクションを行うことがあります
オールオン4の本来の考え方では、必要に応じて骨の高い部分を整える処置(ボーンリダクション)を行います。
特に下顎前歯部では骨が高く残っていることがあり、そのまま人工歯を作製すると
・補綴スペース不足
・清掃性の低下
・審美性の低下
につながる場合があります。
そのため骨の高い部分を整え、顎堤を平坦化してからインプラント治療を行う考え方があります。

ボーンリダクションの目的は、単に骨を削ることではありません。
・人工歯のスペース確保
・清掃性の向上
・審美性の向上
・長期安定性の向上
を目的として行われます。
当院が傾斜埋入に慎重な理由
オールオン4では後方のインプラントを傾斜埋入することがあります。
これは骨造成を回避しやすいというメリットがあります。
一方で当院では、傾斜埋入そのものに対して慎重な考えを持っています。
理由は、治療後の清掃性やメンテナンス性です。
傾斜埋入したインプラントでは、角度を補正するためのアングルアバットメント(マルチユニットアバットメント)が使用されます。
もちろん優れたシステムですが、構造が複雑になることで、
・清掃しにくい
・汚れが溜まりやすい
・長期的なメンテナンスが難しくなる
可能性があります。
当院では、インプラントは「入れること」よりも「長く維持すること」が重要だと考えています。
そのため、
・補綴設計
・清掃性
・メンテナンス性
・将来的な対応のしやすさ
まで含めて治療計画を立案しています。
当院の全顎インプラント治療症例

上下顎の歯を失った患者様に対し、骨造成を併用しながら全顎的なインプラント治療を行った症例です。
本症例では、
・骨の状態
・咬合設計
・清掃性
・長期安定性
を総合的に考慮しながら治療計画を立案しました。
当院では治療法ありきではなく、患者様一人ひとりに合わせた設計を行い、機能回復と長期安定を目指しています。
当院が全顎インプラント治療で重視していること
当院では、
・オールオン4
・オールオン6
・骨造成併用インプラント
・残存歯の保存
・矯正治療の併用
など、様々な選択肢の中から診断を行っています。
重要なのは、「どの治療法を行うか」ではなく、「その患者様にとって最適な治療計画は何か」です。
オールオン4は有効な選択肢のひとつです。
しかし、すべての患者様にとって最善とは限りません。
当院では、治療法の名前ではなく、骨の状態・清掃性・咬合設計・長期安定性を重視しながら診断を行っています。
オールオン4と言われて不安な方へ
・本当に歯を全部抜く必要があるのか
・他の治療方法はないのか
・自分の場合はどのような選択肢があるのか
患者様のお口の状態によって、最適な治療方法は異なります。
当院では、オールオン4ありきではなく、骨の状態・残存歯・清掃性・咬合設計・長期安定性まで含めて診断を行っています。
「他院でオールオン4を勧められた」「別の選択肢がないか知りたい」という方もお気軽にご相談ください。
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この記事の執筆・監修

金山 健夫
東京銀座デンタルクリニック 院長 / 歯学博士
インプラント治療・補綴治療・デジタル歯科治療を中心に診療を行う。
日本補綴歯科学会 専門医・指導医。
国立がん研究センター中央病院 非常勤医師(インプラント外科・補綴担当)。





