上顎洞底挙上術③
2024年2月23日
今回は、上顎洞底挙上術に関連する、今年発表されたばかりの最新の研究成果をご紹介いたします。
論文タイトル:「APCs in sinus floor augmentation」
掲載誌:Periodontology 2000(2024年)
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この論文は、上顎洞底挙上術における自己血小板濃縮液(APCs)の可能性に焦点を当てています。APCsには様々な種類がありますが、特にL-PRF(白血球と血小板が豊富なフィブリン)の利用が強調されています。以下、L-PRFの主な利点を簡潔にまとめました。
1. 自然な骨の増加: L-PRFの使用により、インプラント周囲の骨量が自然に増加します。これは、インプラントの安定性とその長期的な成功に不可欠です。
2. 治癒の促進: 手術後の回復を加速する成長因子がL-PRFに含まれており、迅速な治癒を促進します。
3. 上顎洞膜の保護: L-PRFは、上顎洞底挙上術中の上顎洞膜を保護し、穿孔が生じた場合の修復にも役立ちます。
4. 高い生体親和性: 患者様自身の血液から作られるため、拒絶反応のリスクが極めて低く、自然で安全な治療オプションです。
5. 術後の不快感の軽減: L-PRFは、術後の腫れや痛みを和らげ、快適な回復期間を提供します。
従来、上顎洞底挙上術では骨補填材の使用が一般的でした。しかし、この論文でも述べられているとおり、上顎洞底挙上術において骨補填材を必ずしも必要としないことが明らかになりました。適切な条件下では、患者様自身の再生能力だけで骨が形成されます。
※論文中のFigure
※論文中に、私が書いた論文も引用されています
当院では、L-PRFを用いた上顎洞底挙上術を行っており、患者様の自然な再生能力を最大限に活用する治療を提供しています。より良い口腔健康と生活の質の向上を目指している皆様、インプラント治療にご興味がある方は、ぜひ当院までお問い合わせください。