下顎臼歯部に短いインプラントを使用することの有用性
2024年3月31日
歯を失った患者さんにとって、インプラント治療は自然な歯の感覚を取り戻すための有効な選択肢です。しかし、特に下顎臼歯部のように骨量が少ない場所では、治療のアプローチをどのように選ぶかが重要になります。今回は、骨量が限られている状況でも効果的な解決策を提供する6mmの短いインプラントに焦点を当てた10年間の追跡研究の結果をご紹介します。
論文タイトル:
Single crown restorations supported by 6-mm implants in the resorbed posterior mandible: A 10-year prospective case series
掲載誌:Clinical Implant Dentistry and Related Research(2024年3月)
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研究の目的と方法
この研究では、下顎臼歯部に6mmの短いインプラントを使用して治療した場合の辺縁骨レベルの変化、インプラントと補綴物の生存率、周囲粘膜の状態、および患者の満足度を10年間にわたって追跡しました。
対象は、下顎の小臼歯または大臼歯を欠損しており、最低でも幅6mm、歯槽頂から下歯槽神経までの高さが8mmの骨量を持つ21人の患者でした。各患者には1本以上の6mmインプラントが埋め込まれました。3ヶ月後、これらのインプラントはカスタムメイドのチタン製アバットメントとセメント固定式のジルコニアベースの上部構造で修復されました。治療後12ヶ月、60ヶ月、120ヶ月に臨床検査とレントゲンデータが評価され、患者は治療前と治療後の満足度をアンケートで評価しました。
結果の概要
計31本のインプラントが埋め込まれ、生存率は100%でした。10年間の平均辺縁骨損失はわずか0.18mmであり、プラーク、歯石、歯肉、出血指数のスコアも低く、ポケット探針深度の平均も小さかったです。患者の満足度は非常に高かったです。
結論と意義
この研究は、骨吸収が著しい下顎臼歯部に6mmの短いインプラントを使用することで、良好な結果が得られることを示しました。これは、骨造成手術の回数、治療時間、及び合併症のリスクを減少させる短いインプラントの利点を再確認するものです。短いインプラントは、骨量が限られている場合でも、信頼性の高い治療オプションであることが示されました。治療計画を立てる際には、このようなデータが役立つでしょう。患者さんが自身の状況やニーズに最も合った治療方法を選択するために、歯科専門医との相談をお勧めします。
論文中のFigure: